外壁調査の目的/
特定建築物定期調査における
外壁全面調査
建築基準法12条に基づく特定建築物定期調査における外壁全面調査
平成元年の11月に北九州市の高層住宅で外壁タイルが剥離落下し、2名の方が亡くなられました。その後も平成17年6月に東京都中央区でオフィスビルの斜め壁のタイルが落下するなどの事故が起きています(建築・設備維持保全推進協会[タイル外壁及びモルタル塗り外壁 定期的診断マニュアル(改訂第3版)]より抜粋)。
既存建築物の安全確保が緊急課題となる中、平成20年に国土交通省の告示において、特定建築物定期調査の対象となる建物はおよそ10年に1度外壁の全面調査を行う事となりました。
たいせつな建物と、建物の利用者や通行人を守るため、是非専門の調査をご利用下さい。
調査の規定
平成20年4月より、建築基準法第12条第1項に規定する調査(特定建築物定期調査)において、国土交通省告示第282号(平成20年4月1日施工)別表「2 建築物の外部(11)外装仕上げ材等のうちタイル、石貼り等(乾式工法によるものを除く)、モルタル等の劣化および損傷の状況」において、対象となる外壁に「落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分について全面打診等調査」を行うことが規定されました。
開口隅部、水平打継部、斜壁部等のうち手の届く範囲をテストハンマーによる打診等により確認し、その他の部分は必要に応じて双眼鏡等を使用し目視により確認し、異常が認められた場合にあっては、落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分を全面的にテストハンマーによる打診等により確認する。ただし、竣工後、外壁改修後若しくは落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分の全面的なテストハンマーによる打診等を実施した後10年を超え、かつ 3年以内に落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分の全面的なテストハンマーによる打診等を実施していない場合にあっては、落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分を全面的にテストハンマーによる打診等により確認する(特定建築物定期調査業務基準) 。
外壁全面調査の実施が規定されている建築物 | |
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定期報告をすべきところをしなかったり、虚偽の報告を行った場合は、罰則の対象となります(建築基準法101条第1項第2号) 。
調査対象となる仕上げ材
調査対象は、外壁のうち下記に該当する仕上材になります。
外壁全面調査が必要となる仕上げ材 | |
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仕上げ材の下地材としてプレキャストコンクリート (PCa) パネル、ALCパネルなどにモルタル又は接着剤等で貼り付けられたタイル、 石貼り等も対象となります。
現場、工場等でコンクリートなどと同時に打ち込まれたものも対象となります。
調査対象となる範囲
調査対象となる範囲は「落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分」とし、『剥落による災害防止のためのタイル外壁、モルタル塗り外壁診断指針』により、「災害危険度」の大きい壁面として、以下のように定められています。
当該壁面の前面かつ当該壁面高さの概ね 2分の1の水平面内に、公道、不特定または多数の人が通行する私道、構内通路、広場を有するもの。
但し、壁面直下に鉄筋コンクリート造、鉄骨造等の強固な落下物防御施設(屋根、庇等)が設置され、または植込み等により、影響角が完全にさえぎられ、災害の危険がないと判断される部分を除くものとする(特定建築物定期調査業務基準) 。
弊社では特定建築物定期調査業務基準に沿った適切な調査範囲になるよう専門スタッフが確認・ご提案させて頂きます。
また、特定建築物定期調査業務基準では定められていない範囲のうち、落下時の跳ね返り等で歩行者等に危害を加える可能性のある範囲をコストを大きく変えずに合わせて調査出来るよう、積極的に検討・ご提案させて頂いております。
調査方法
[特殊建築物等定期調査業務基準(2008年改訂版)(国土交通省住宅局建築指導課 監修)]では、調査方法として「外壁調査範囲に、足場等設置してテストハンマーで全面打診する方法(打診調査)」と「赤外線調査」が挙げられています。
テストハンマーで全面打診する方法 (打診調査) |
赤外線調査 |
従来から実施されている打診調査は細かい調査が可能ですが、全面調査では費用が高額になりがちです。赤外線調査は広い範囲を低コストで調査可能ですが、実施の条件が限られ、また信頼出来る調査のためには高い技術力が必要となります。
弊社では、広範囲を低コストで調査出来る赤外線調査を中心に、赤外線調査に適さない部分に対しては打診調査を行い、コストを抑えつつ精度も損なわない調査計画をご提案させて頂いております。また、赤外線調査に関してはJAIRA法に基づく信頼性の高い調査を実施致します。